暮らしに役立つ農業用水
農村地域の生態系は、手付かずの自然ではなく、田植え、畦畔の草刈、水路の土砂上げ等農業生産活動や共同活動等の営みの中で作られた生態系です。
農業・農村は、米や野菜などの生産の他農業が継続して行われることにより、私たちの生活に色々な『めぐみ』をもたらしています。水田は雨水を貯留し、洪水や土砂崩れを防いだり、多様な生きものを育み、美しい農村の風景は、私たちの心を和ませてくれるなど役割を果たしています。
水土里ネットは、『山→ 川→ 用水路 → 田 → 排水路→川→海 』の水循環の中で、豊かな環境を未来に残し、農業・農村の多面的機能の維持・発揮のため、様々な連携活動を実施します。
※画像は、農水省ホームページより引用 https://www.maff.go.jp/
■水源かん養林の育樹
白川流域にある30の水土里ネットは、下流域への安定的な水の供給のため、上中下流域連携により阿蘇山の水の生まれる里に、水源かん養林「水土里ネットの森」の育樹をしています。また、大津町、南阿蘇村、山都町でも実施しています。
■水田は地下水を作っている
中流域では、水田に水張りを実施しています。これにより、かんがい期には約100万の地下水が 涵養されており、この地下水が下流で湧き出し、市民92万人分の生活用水になっています。田んぼの面積が減ると地下水も減ってきます。
■洪水の防止(田はダムの役割)
水田は一時的に雨水を貯留し、川下に流れる水量を調節し洪水被害を防止します。 洪水時には懸命な排水路、樋門の管理や排水機場の運転を行い、農地だけでなく地域全体に防災効果が発揮されます。
■地域用水を流す
農業用水は、消火用水、打ち水、生き物の生息等の地域用水としても利用されています。
年中流すことで、地域の水環境は保たれ、汚濁を防止したり希釈により水質を改善しています。
■潤いある環境づくり
地域住民の協力を得て草刈・土砂上げ等を年に数回実施して、田んぼや水路や季節ごとに美しく変化する田園景観を守っています。
農業の営みにより、水や空気がきれいになり、気候もやわらぎ、農村の持ついやしを提供してくれます。
■ネットワーク(人)づくり
共同活動によって地域の人々の心が深く結びつき、地域(人)のネットワークも構築されます。
住民が自然環境に関心を持ち、親しみを持つようになり、また、学校教育において自然の大切さを学ぶ体験学習の場としても活用され、農業・自然環境への理解につながっています。
地域用水
水土里ネット森の育樹
水張り
出前講座
田植え体験(都市部の学校との交流)
住民による農地・水路の清掃